家族手当・配偶者手当の「扶養」の条件は、会社が就業規則や賃金規程で決めます。税の配偶者控除や健康保険の扶養と同じ基準を使う会社もあれば、独自の金額を決めている会社もあります。そのため、税や健康保険の基準を満たしていても、手当の条件を満たすとは限りません。
確かめる方法は、規程そのものを読むことです。常時10人以上を雇う会社は就業規則を作って届け出る義務があり、会社は就業規則を従業員に周知する義務があります(出典: e-Gov法令検索「労働基準法(第89条 就業規則の作成及び届出の義務/第106条 法令等の周知義務)」)。
3つの「扶養」の違い
| 項目 | 税(配偶者控除・扶養控除) | 健康保険の扶養 | 会社の家族手当 |
|---|---|---|---|
| 決めるもの | 所得税法など | 健康保険法と通知 | 会社の就業規則・賃金規程 |
| 収入の基準(2026年分・給与だけ) | 配偶者控除は136万円以下 | 年収の見込み130万円未満が原則 | 会社ごと |
| 数える期間 | 1月〜12月 | これから1年の見込み | 会社ごと |
| 確認する先 | 勤務先の年末調整担当・税務署 | 扶養する人の健康保険 | 勤務先の人事・総務 |
2026年分は税の基準額が変わりました(出典: 国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし(基礎控除の引上げ等)」)。規程が「税法上の控除対象配偶者」のような税の言葉を使っている会社もあります。その場合は、改正後の基準がそのまま手当に当てはまるのかを確かめます。規程に金額が直接書かれていれば、その金額が基準です。この点は規程の文面と人事の説明で確かめます。
規程で探す5つの項目
就業規則の本体に賃金の細かい定めがなく、別の「賃金規程」「給与規程」に書かれていることもあります。次の5つを探してください。
- 支給の対象になる家族:配偶者・子・父母など、誰が対象か。子に年齢の上限があるか。
- 収入の条件の書き方:「年収○万円未満」「税法上の扶養親族」「健康保険の被扶養者」など、何を基準にしているか。
- 収入を数える期間:前の年の収入か、今年の見込みか、毎月の収入か。
- 届出の期限と書類:家族の収入が変わったとき、いつまでに何を出すか。
- 支給をやめる時期と返還の定め:条件から外れた月から止めるのか、さかのぼって返すことがあるか。
5番目は見落としやすい項目です。家族の収入が増えた年に届出が遅れると、規程によっては受け取った手当の扱いが問題になります。
規程の見せてもらい方
労働基準法は、就業規則に書くべきことの1つとして「賃金の決定、計算及び支払の方法」を挙げています(出典: e-Gov法令検索「労働基準法(第89条 就業規則の作成及び届出の義務/第106条 法令等の周知義務)」)。会社は就業規則を、職場の見やすい場所への掲示や備え付け、書面の交付などの方法で周知する義務があります。
規程が見つからないときは、人事・総務に「家族手当について定めた規程を見せてください」と頼めます。口頭の説明だけで判断せず、文面を確かめるのが確実です。
配偶者手当の見直しの動き
厚生労働省は、収入の条件がある配偶者手当が、パートで働く配偶者の就業調整の原因の1つになっていると指摘しています。そのうえで、働き方に中立的な制度になるよう、労使で話し合うことを呼びかけています(出典: 厚生労働省「配偶者手当の在り方の検討について」)。
同じページによると、国家公務員の給与については2024年12月に法改正が成立しました。配偶者に係る扶養手当の廃止と、子に係る扶養手当の増額が盛り込まれています。民間の会社で手当がどう変わるかは、各社の労使の話し合いと規程の改定によります。今の規程が改定の途中かどうかも、人事に聞いておきます。
判断に必要な情報
- 就業規則と賃金規程(家族手当の条文)
- 家族の今年の収入の見込み(給与明細・契約書から)
- 家族の前の年の収入(源泉徴収票)
- 手当の届出をした日と、届け出た内容の控え
この記事だけでは決まらないこと
| 状況 | 聞く先 |
|---|---|
| 規程の「扶養」が税・健康保険・独自基準のどれかはっきりしない | 勤務先の人事・総務 |
| 税の基準の改正後の額を手当に当てはめるのか | 勤務先の人事・総務 |
| 家族の収入が増えた年の手当の返還 | 勤務先の人事・総務 |
| 規程の改定の予定 | 勤務先の人事・総務、労働組合があれば組合 |
次にすること
- 家族の今年の収入の見込みを出します(12月分まで含めて)。
- 就業規則と賃金規程で、上の5つの項目を確かめます。
- はっきりしない点を人事・総務に聞き、届出が要る場合は期限までに出します。
- 税(年末調整)と健康保険の扶養は、手当とは別に確かめます。全体の表は2026年分の年収の壁早見にあります。
人事・総務に聞く内容の例
- 「家族手当の収入の条件は、規程のどの条文に書かれていますか」
- 「収入の条件は、前の年の収入と今年の見込みのどちらで見ますか」
- 「2026年分の税制改正で税の基準額が変わりましたが、家族手当の条件も変わりますか」
- 「家族の収入が条件を超えたら、いつまでに何を届け出ればよいですか。さかのぼって返すことはありますか」
法令は2026年11月1日にe-Gov法令検索で、厚生労働省の資料も同じ日に確認しました。手当の扱いは会社ごとに違い、当サイトは個別のご相談には応じていません。